まさか自分が借金に悩む日が来るなんて、想像していませんでした。
でも、そんなふうに感じている方が、今、本当にたくさんいらっしゃいます。
この数年で、私たちの暮らしは大きく変わりました。
今日は、そんな「苦しみの背景」と「もう一度立ち直る方法」について、お話しさせてください。
このページの目次
■コロナがもたらした静かな崩壊
「コロナで仕事が減って…」「生活費が足りなくて…」
そんな声が、ここ数年でずいぶん増えました。
私たちの生活を根底から揺るがしたコロナ禍。
自粛、リモートワーク、休業、解雇――。
一人ひとりの頑張りでなんとか乗り越えた数年間でしたが、
その間に、借金を重ねてしまった人が多くいらっしゃいました。
カード払い、キャッシング、スマホの後払い。
最初は「一時的な補填」のつもりでも、収入が減れば返済は困難になります。
金利や手数料が加算され、借りることでしか回せない月が続く――。
気づけば、どうにもならない額になっていた…という方が少なくありません。
■副業という光にすがって
特に、20〜30代の若い世代の方から、最近よく聞くのが
「副業で稼げると思ったのに…」というお話です。
不景気の中、将来に希望が持てない。
正社員になっても給料は低く、物価はどんどん上がっていく。
そんな不安から、SNSやYouTube、広告で見かけた「副業セミナー」に参加した方も多いでしょう。
「月収30万円確実」「スマホひとつで稼げる」
そんな甘い言葉に心が動くのは、無理もありません。
最初に払うのは、5万、10万、時には30万円を超える「ノウハウ料」。
分割払いやカード払い、借り入れを勧められ、
「すぐに取り返せる」と信じて契約してしまうのです。
ところが、実際には稼げるどころか、まともなサポートも受けられず、
結局借金だけが残ってしまう。
誰よりも前向きに未来を考えていたからこそ、
その希望が、無残に打ち砕かれてしまう。
それが、いまの「副業破産」の現実です。
■あなたは悪くない
このような借金の背景にあるのは、浪費ではありません。
「生きていくため」
「将来に備えるため」
という、ごくまっとうな思いです。
そして、借金が返せなくなることは、決して「恥」ではありません。
私たちは、「人生をやり直す制度」を持っています。
それが、自己破産です。
■自己破産とは「リセットボタン」ではない
破産手続と聞くと、「すべてを失う」「人生の終わり」というイメージを持たれるかもしれません。
でも実際は、「新しいスタートを切るための制度」です。
自己破産をすると、原則として借金はすべて免除されます(※一部例外あり)。
家や車など高額な財産がなければ、複雑な手続も不要で、比較的スムーズに進めることができます。
大切なのは、「誠実に生きてきた結果として、どうしても返せなくなった」ことが明らかな場合、
裁判所はそれを受け止め、救済の手を差し伸べてくれるという点です。
■寄り添う専門家が、ここにいます
借金に関する相談は、なかなか身近な人に話せないものです。
「責められるかも」「情けないと思われるかも」
そんな不安を抱えて、誰にも言えずに悩んでいる方も多いです。
でも、私たち法律の専門家は、あなたを責めるためにいるのではありません。
「もう一度、前を向いて生きるための方法を、一緒に考える」
そのために、日々ご相談をお受けしています。
もし今、ひとりで悩んでいるのなら、
どうか思い切って、ご相談ください。
■最後に――
借金の原因が、あなたの甘さではないこと。
あなたが「なんとかしよう」と前向きに努力してきたこと。
そして今、その荷物を下ろす方法があること。
それをどうか、覚えておいてください。
新しい一歩は、いつだって遅すぎることはありません。

久米法律事務所の代表弁護士・久米修司は、長野県飯田市出身。慶應義塾大学法学部を卒業後、昭和56年に弁護士登録し、以来40年以上にわたり、債務整理や過払い金請求を中心に多くの相談者と向き合ってきました。2005年からは「ひかり法律事務所」の代表として活動し、全国対応の体制を整え、年間数千件の相談実績を重ねています。依頼者一人ひとりの状況に寄り添い、柔軟かつ丁寧な対応を心がけています。全国どこからでもご相談いただけます。